UVカット対策された日傘はどれくらい効果があるのか?
こんにちは、れんち です。
最近、日傘男子デビューしました。
(男子と呼べる年齢ではないですけど...)
今年は異常な暑さですよね。夏だからとはいっても、強烈な日差しを浴びるのは流石につらいです…というか痛いです。
さて、日傘男子デビューするにあたって日傘を選んでいたとき、気になったことがあります。
それは、日傘に表示されている「UVカット率〇〇%」という数字。その名の通り紫外線をどれくらい遮断できるかを表しており、100%で完全に遮断ということですが、
「じゃあ実際、何%以上必要なの?UVカット加工されていない雨傘を日傘替わりにできないの?」
という疑問が湧いてきました。
本記事では、この疑問に対して調べてみた結果をまとめます。
- 紫外線(UV)とは?
- 紫外線が人体に与える影響は?
- 直射光だけじゃない!紫外線の性質
- 紫外線の強さを表す指標「UVインデックス」
- 紫外線の経路を考慮したUVインデックス
- 日傘はどの程度紫外線を防げるのか?
- 雨傘じゃダメなのか?
- おまけ:日焼け止め・サングラスを併用しよう
- おわりに
紫外線(UV)とは?
太陽から降り注ぐ光は、目に見えているもの(可視光線)だけではなく、光の波長によって赤外線、可視光線、紫外線の3つに分類できます。赤外線が最も長く、紫外線が最も短い波長です。
(出典:紫外線環境保健マニュアル2015 http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf)
紫外線の中でも、波長の長いほうから「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3つに分けられており、UV-Cは地表に到達しないため、私たちがケアしなければいけない紫外線はUV-AとUV-Bの2つです。
本記事ではこの2つを特に区別することなく、一緒くたにして紫外線としています。
紫外線が人体に与える影響は?
メリット
何かと悪者扱いされがちな紫外線ですが、全く紫外線を浴びないというのも健康に悪い影響を与えます。
紫外線が皮膚に照射されると、皮膚下でビタミンDが生産されます。ビタミンDは、カルシウムの吸収を増加させる効果があり、ビタミンDが不足すると体内でカルシウムが十分に吸収できず、カルシウム不足に陥ります。
ビタミンD(カルシウム)が不足すると、「けいれん」や、ひどい場合は「くる病」、「骨軟化症」といった骨が歪む病気につながります。*1
余談ですが、ディズニー映画『ノートルダムの鐘』の主人公・鐘衝き男のカジモドの背中が曲がっているのも、紫外線の照射不足によるビタミンD欠乏症によって「くる病」にかかってしまったことが原因です。
十分な量のビタミンDを食事だけで摂取するのは困難であるため、適度な紫外線を浴びることも体の健康には必要なことなのです。
デメリット
紫外線にはビタミンDの生成というメリットがあるものの、ご存知の通り、浴びすぎても 健康に悪影響を及ぼします。
- 皮膚の病気:シミ、シワ、皮膚がん 等
- 目の病気:白内障、翼状片 等
皮膚がんはリンパ節・他の臓器へのがんの転移の心配がありますし、白内障は最悪の場合失明の可能性もある大きな病気です。そのため、過度な紫外線に対しては対策が必要になってきます。
次に、紫外線がどのようにして僕たちの体に入ってくるのか、その経路を見ていきます。
直射光だけじゃない!紫外線の性質
人間の体が浴びる紫外線は、その経路から直射光、散乱光、反射光の3種類に分類できます。*2 *3
- 直射光:その名の通り、太陽から直接地上に到達する光です。太陽の当たらない日陰にいれば防ぐことができます。
- 散乱光:太陽から降り注ぐ光のうち、空気中の粒子に衝突して四方八方に散乱する光のことです。直射光と違い、日陰にいても防ぐことができません。
- 反射光:太陽から降り注ぐ光が地面に達したのち、地面で反射される光のことをいいます。アスファルトなのか、草地なのかといった地面の違いで、反射される光の量が変化します。
では、これら3つの経路において、それぞれどれくらいの強さの紫外線を浴びることになるのでしょうか?
その前準備として、紫外線の強さを示す指標である「UVインデックス」について見ていきましょう。
紫外線の強さを表す指標「UVインデックス」
一般に太陽との距離が近ければ近いほど強い紫外線が届くため、時間帯や天気だけでなく、季節、緯度、標高によっても紫外線の強度は変化します。一日のうちでは正午ごろ、日本では6月~8月にかけて最も紫外線が強くなるようです。
世界保健機関(WHO)では、目では見えない紫外線が自分たちの体にどのくらいの影響を与えているのかということを示すための指標として、「UVインデックス(UV指数)」を定義しています。*4
UVインデックスはその強度に応じて、以下のように「弱い(1~2)」から「極端に強い(11+)」まで分類し、外出を避けるべきかどうかの判断基準を与えてくれます。
(出典:紫外線環境保健マニュアル2015 http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf)
気象庁では、このUVインデックスを札幌、つくば、那覇の観測地点で毎時観測しており、そのデータをホームページで公開してくれています。*5
下の図は、つくばの観測所において、ここ最近でUVインデックスが最も高かった2018年8月1日の1時間ごとのUVインデックス平均値を、気象庁のデータをもとにグラフにし直したものです。
横軸が6時~18時までの時間を、縦軸はUVインデックスの強度を表しています。
図からわかるように、朝の7時以前や夕方の16時以降ではUVインデックスの値が2を下回っていることから、安心して戸外ですごせるレベルといえます。逆に、11時~12時にかけては最も紫外線が強く、外出を控えたほうがいい強度であるレベル8を超えています。
紫外線の経路を考慮したUVインデックス
先ほど示したつくばの観測所の2018年8月1日のUVインデックスですが、直射光、散乱光、反射光の3つの経路に分けると、それぞれどのくらいの強度なのでしょうか?
UVインデックスは、この経路のうち上空から地上に向かう光である直射光と散乱光を合わせた値を示したもので、反射光は含まれません。この理由は、地面の違いによって反射率が異なるために、反射光の強度が一意に決められないためだと考えられます。
気象庁の資料によると、UVインデックスのうち直射光と散乱光の割合はおおよそ4:6です。*6
さきほどのつくばの観測所の2018年8月1日のUVインデックスを、単純にこの比率で直射光と散乱光に分けると以下のようになります。
さらに、このグラフに反射光を足してみましょう。
普段の外出の際はたいていアスファルトの地面を歩くと思うので、アスファルトの反射光を考えます。アスファルトの反射率は10%です。*7
UVインデックスに対し単純にこの割合をかけていいとすると、反射光を考慮したUVインデックス値は以下のようになります。
これを見ると、おおよそ10時~13時にかけてUVインデックスが8以上となり、外出は避けたほうがいいということになります。
つまり、太陽から降り注ぐ光にのみ注意していればいいわけではなく、地面からの反射も考慮して紫外線対策を行う必要があります。
さて、このような強い紫外線に対し、日傘はどれくらいの効果をもつのでしょうか?
日傘はどの程度紫外線を防げるのか?
ようやく本題ですが、日傘は日差しをさえぎることで紫外線を防ぐため、防げる紫外線は直射光のみと考えられます。
仮に、屋外でUVカット率100%の日傘をさしている仮定すると、UVインデックスは直射光を無くした値となるため、以下のようになると考えられます。
図からわかるように散乱光と反射光を防ぐことができないため、UVカット率100%の日傘をさしていても、全体でみると36%程度しか紫外線を防ぐことができないと考えられます。
雨傘じゃダメなのか?
僕個人としては「男性向けの日傘は種類が少ないし、突発的な雨も降ることを考えると、わざわざUVカット率の高い日傘を買わなくても雨傘で代用できないか 」と思うのです。
そこで、色や材質によってUVカット率を調べてみたところ、黒や青といった暗い色のUVカット率は95%を超えており、赤やオレンジのような明るい色でさえ90%以上のUVカット率をもつようです。*8(ただし、白色はUVカット率が70%を下回り、反射率も高いことから、傘の内側の面での紫外線の反射のことも考えると選ぶのを避けたほうがいいと思います。)
また、雨傘の生地として一般的に使われているポリエステルのUVカット率は90%程度あるようです(生地の厚さにもよりますが)。*9
つまり、雨傘でもたいていのものはUVカット率90%を超えることになります。
UVカット率90%の雨傘をさした場合の、UVインデックスは以下のようになります。
UVカット率100%の日傘とのUVインデックス値の差は最大で0.3程度しかありません。
結論として、たいていの傘ならUVカット率にこだわらず、日傘でも雨傘でも自分の好みの傘を選んでいいと言えると思います。
(ただし、UVカットされていない白色の傘や、コンビニで売っているようなビニール傘などは除きます。)
おまけ:日焼け止め・サングラスを併用しよう
日傘では直射光しか防げないため、散乱光、反射光といった紫外線を防ぐには他にも対策が必要です。一般的な紫外線対策としては他に、日焼け止めを塗る、サングラスを着用することが考えられると思います。
日焼け止めの選び方については、以下のサイト様の記事で詳しく載っているので、ぜひ一度読んでみてください。
ここでは、選び方については触れず、仮に適切に日焼け止めを使った場合にどれくらいの紫外線を防げるのかを推定します。
Amazonで日焼け止めの種類を検索してみたところ、市販されている大半の日焼け止めは、紫外線防止効果を示すSPF値が30以上です。そして、上に挙げた記事によるとSPF30以上のUVカット率は97%もあります。
肌に直接塗る日焼け止めは、直接光、散乱光、反射光のすべての紫外線を防ぐことができると考えられるため、UVインデックスに換算すると以下のようになると考えられます。
うーん、ちょっとにわかには信じがたいですね…。
元のUVインデックスに単純にUVカットの割合を掛けていいのかという問題もありますし、実際には日焼け止めの使用量や塗り方のムラによって、実際にはもっと高い値になると思います。
また、日焼け止めは皮膚に対するケアにはなりますが、目に対してもケアが必要になると思います。JINSやZoffなどの大手メガネメーカーでは、色付きでない透明なレンズで、紫外線を100%近くカットできるサングラスを販売しているようなので、目に対する日常的な紫外線対策として活用してみてはいかがでしょうか。
おわりに
UVカット対策された日傘の効果と、雨傘で代用できるかについて、僕が調べたこと・考えたことをまとめました。(思っていた以上のボリュームになってしまいました…)
昼間の外出時は、熱中症を防ぐ意味でも日傘・雨傘の使用をお勧めします!
次回は、日傘男子デビューするにあたって注意したほうがいいことについて、僕の経験をもとに書けたらなと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*1:参考:紫外線環境保健マニュアル2015 http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
*2:参考:散乱される紫外線 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-75uvindex_mini.html
*3:参考:地表面の反射と紫外線 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-76uvindex_mini.html
*4:紫外線の算出方法について詳しく知りたい方はこちら:気象庁|UVインデックスを求めるには
*5:紫外線に関するデータ:気象庁|紫外線のデータ集
*6:参照:散乱される紫外線 https://www.data.jma.go.jp/gmd/env/uvhp/3-75uvindex_mini.html
*7:参照:紫外線環境保健マニュアル2015 http://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf
*8:参照:紫外線対策の色?カラーごとに違う紫外線カット率 | 色彩検定・カラーコーディネーターのスペシャリストによるこっそり裏講義